ZAIPA BLOG
ザイパブログ
【ザイパブログ】ザイムパートナーズスタッフのブログ
資生堂インパクトという本を、先週末くらいから読んでいます。法制度を上回る子育て支援策を充実してきた、どこの会社よりも働く女性に優しい資生堂が、自らそのワークスタイルを見つめ直し、社員の協力を得て実現してきた経緯が書かれた本です。
資生堂では、次のものすごい優遇制度が当たり前のように実施されています。
1.育児休業は最大3年(法定では1年)
2.子供が小学校3年生終了まで1日5時間45分勤務で良い短時間勤務制度
(法定では3歳までの期間で6時間以下)
3.事務所内保育施設の運営
資生堂にはBC(ビューティーコンサルタント)という、いわゆるデパートなどの店舗で対面販売を行う職種があります。このBCが資生堂の売上の肝となります。そして、デパートの営業時間を考えれば当たり前なのですが、大抵10時〜21時くらいで、化粧品を買いに来る層がもっとも来る時間帯は、後半の夕方以後の時間になります。お客さんへのカウンセリングのうえで、どの商品を提案するかというBCの仕事は効率化に限界があり、売上を増やすには顧客を担当する人数を、顧客が来店する時間帯に投下するしかありません。
ネット通販ではなく、リアルなお客さんが来る時間帯が勝負です。さらにいえば、土日祝日にどれだけ人を投下できるかも同様に売上を増やすポイントです。
資生堂の短時間勤務制度は、前述したとおり、子供が小学校3年生終了までは1日5時間45分勤務が認められます(資生堂の通常の勤務時間は7時間45分)。1日5時間45分の早番では、到底、仕事帰りのOLさんなどの顧客層への対応はできないわけで、資生堂のBCを中心とした販売施策が機能しづらくなります。
メインターゲットは、平日は遅めの時間に、そして土日祝日に来るわけですが、そこを担うのは短時間勤務制度を使わない、いわゆる通常の正社員が中心になっていたわけです。ほとんどの短時間勤務社員は、夕方までに帰宅し、土日祝は勤務しないことが常態化していたそうです。
そして、そういう環境では通常の正社員に負荷がかかり、不満が増えてくる。制度を使えるだけ使ったうえで、復帰するなら良いのですが、その後に辞めてしまうケースもでてくると、ずっと踏ん張ってきた正社員には、苛立ちも生じますし、疲弊します。不公平感が漂っていたそうです。
短時間勤務者は、当然のように早番にしか入らないし、土日祝日も勤務しないことが当たり前になっていくなか(実際の社内規定では、遅番に入らなくてよいとか、土日祝は勤務しないとは記載されてないのに、慣行化していたそうです)で、聖域を設けずに勤務シフトの平準化を行いました。
その結果、2014年以降は短時間勤務者も、日数は少ないながらも遅番を数日は引き受ける勤務スタイルに変化させていき、職場改善をしていきました。(もちろん強制ではなく、社員との最大限の調整を図った結果だそうです。本来の規定に沿った運用をしていくという全うな取り組みではあります)
この本を読んでいて、ハッとさせられたことが4つあります。
①そもそも短時間勤務制度は、いざというときのセーフティネットであり、社員が100%それを行使する既得権ではない。
➁育児中の女性だから仕方ないという聖域を作っているのは、当人ではなく、管理職(特に育児経験の乏しい男性)。
③いま、現時点で頑張っている者が正しく報われる会社でないと、既得権を消化することだけを考える社員が増える。
④その会社で仕事をすることにやりがいを感じているなら、仕事時間を得るために家族の協力を得られるように対話をする。(要は、夫の生き方を100%是とするのではなく、自分の人生における仕事とは何なのだと、自分と正しく向かい合う。)
①②は、社会保険労務士としても考えさせられました。失業保険で良く聞く話ですが、最大限失業保険がもらえる間は働かないといった、本末転倒なことを平然と言う人がいます。本来は、失業保険はセーフティネットであり、就職先が見つけられない間の救済策であり、それを100%利用することは制度の本質とはズレています。制度の100%フル利用は権利として可能だが、100%使用することを会社は求めていないわけです。
そして、小さいながらも組織のトップである者としては、??を定期的に意識することが大切だと感じました。いま、目の前で踏ん張ってくれているスタッフに最大限の待遇を与えることの大切さを再認識させられました。(私は、社員に対して感謝の気持ちがあるなら、それを金銭で示すことはとても重要だと考えています。)
また、会社としては、やりがいのある仕事を作り、それを通じて本人のキャリアップと充実感を得られる環境を整備していきたいです。あなたがいることは、あなたにとっても会社にとっても嬉しい。そんな職場を作っていきたいですね。
資生堂の女性社員比率はざっくり8割。会社規模は雲泥の差ですが、弊社では7割になります。独身の者もいますし、育児休業から復帰した短時間勤務スタッフ、最近結婚したスタッフもいる、子供が小さいためフルタイム勤務だけど残業は原則できないスタッフ、子育てが一段落して男性同様にガンガン仕事するスタッフなど、女性スタッフの仕事・ライフスタイルも様々です。
そのなかで不公平感がでないことが最も重要になってくると思いますし、本人が仕事をしたい!仕事をする自分が好きだ!と思ってもらえる会社作りをしていきたいと思います。女性がイキイキと仕事に楽しく取り組める税理士・社会保険労務士事務所としては日本一でありたいです。それが男性にとっても有益であるようにしたいと思います。
資生堂インパクト。ぜひご一読をススめますよ。最終的には、仕事を続けることがやっぱり楽しい。しんどいけど楽しいという感覚を女性が持てるかどうかなのだと思います。その楽しさ作りに経営者は向かいあっていく必要はあります。向かい合う気がないなら、男性だけで固めればよいのです。それも、合理的で正しい選択肢ではあります。
こちらの記事も面白いのでぜひ。私のつたない文章とは違い、読みやすくまとまっています。
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