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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ
今日ではビジネスを進めるにあたり、パソコンが不可欠になっています。パソコンは色々なことができますが、税務・労務的にナーバスな証拠になり得る情報も、知らないうちに記録されています。今回は、パソコンに記録されている情報の見方と、それが税務・労務的に、どのような意味を持つのかを考えていきたいと思います。
◆ パソコンを初めて起動した日は、記録されています
「パソコンに初めて電源を入れた日時」という、本人も覚えていないような情報が、律儀にパソコンに記録されていて、それは簡単に調べることができます。
① スタートメニューの中に「プログラムとファイルの検索」窓があるので、そちらに「cmd」と入力し、Enterを押します。
② そうすると、以下のような「コマンドプロンプト」という、黒い画面が立ち上げるので、「systeminfo」と入力し、Enterを押します。
③ 色々情報が出てきますが、「最初のインストール日付」欄に、初回の電源投入時間が表示されます。
「こんな記録、何の役に立つの?」とお思いでしょうが、昨今では税務調査時、経費算入の妥当性を検証する際に、こちらを見られます。税務署員も最低限のITスキル研修は受けています。
税務上で経費にしてOKな要件は、「決算日までに、業務での使用を開始していること」です。決算対策でパソコンを買い、納品は決算日までにあったものの、実際に初めて電源を入れた日は決算日後であった場合は、決算日までに使用開始していないので経費には出来ず、翌期の経費になります。そして、その事実はこんな簡単な方法で把握可能です。
また、こちらはご存じの方も多いかと思いますが、ファイルにも作成・更新日時が記録されています。ファイルを右クリックし「プロパティ」を選択すると、次のような画面が出てきます。
↑ご覧のとおり、ファイルの作成日・更新日が記録されています。例えば、株主総会議事録(申告日までに開催する、役員報酬等、会社の重要事項を決める会議の議事録です)を後付けで作成しても、右クリック一発で、それが分かってしまいます。
◆ 日々の電源オンオフも、簡単に調べられます
初回電源投入日時と同様に、日々のパソコン電源オンオフも記録されています。
① コントロールパネル → 管理ツール → イベントビューアーを起動します。
② 左端の Windowsログ → システムを右クリックし、「現在のログをフィルター」をクリックします。
③ 画面中段の入力欄に「6005,6006」と入力し、OKを押します。ちなみに「6005」は起動時間を表し、「6006」は終了時間を表します。
こちらが、上記作業で抽出したデータを、エクセルに貼り付けたものです。ざっくりですがこのパソコンは、1日12時間程度動いているようですね。ちなみに、Macでも同じような情報を取り出すことが出来ます。さて、この記録は、先ほどの初回電源投入日時より、遙かに重要です。具体的には、裁判時において労働時間の算定に、証拠として使われる場合があります。
タイムカードが無い、若しくはタイムカードの打刻時間と、実際の労働時間とに乖離がある場合、このような記録が、真の労働時間算定根拠として、実際に採用されています(例:萬屋建設事件 前橋地裁 平成24年9月7日)。その他には、「マナカ」のような電子マネーの記録が、証拠として採用された例もありますし、メール送信時間も労働時間の証拠になります。
仮に、タイムカードが無く、パソコンの電源オンオフ時間を、労働時間の始業終業時間として残業代を請求された場合、会社としては、それを否定する客観的・合理的な証拠を提出できない限り、電源オンオフ時間を参考に、労働時間を算定されてしまうでしょう。現実的には、タイムカードや残業指示書のような書面以外で、客観的・合理的な証拠を提出することは、ほぼ不可能です。
現代において、メールもパソコンもデジタル機器も一切不要だという職種は、ごく限られます。パソコンは便利ですが、このように意図しない記録も累積されています。そしてその記録は、ごく簡単な操作で取り出せますし、このご時世、調べる側はその取り出し方を知っています。だからと言って今更、全てを紙とペンと電卓に戻す事は不可能です。仮に社内からパソコンを排除したところで、セコムのようなセキュリティの記録でも、労働時間の証拠になり得ます。
ここで私は、「世知辛い世の中になったものだ」的なことが言いたいわけではありません。上記に限らず、日常における不明点や違和感も、その正否はともかく、インターネット上で簡単に回答を調べられます。自分の待遇が世間一般と比べてどうなのか、法的に問題ないのかも簡単に分かってしまいます。会社としては、最低でも「世間並み」を維持しないと特に若年者の採用が難しくなるでしょう。コンプライアンス(法令遵守)を振りかざすつもりはありませんが、今は人口減少社会(現状の出生数は、第2次ベビーブーム【昭和48年 209万人】の半分以下です)なのであり、若年者は取り合いです。今後、会社はその対策をせざるを得ないのだろうと、個人的には思います。
文:渡辺雅人
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