所得拡大促進税制は、社員採用に積極的な会社・処遇改善に取り組む会社には、ぜひ適用を検討したい節税プランの一つです。しかし、適用にあたって判定がクソ面倒くさい非常に煩雑で時間がかかることもあり、敬遠されがちな税制でもあります。
平成29年度(29年4月1日以後開始年度)の所得拡大促進税制は憂鬱です。30年度は簡素化されますが、今年はイヤですね・・・
イヤだよね(断言)そうは言っても、社員を増やして、昇給もさせている社長さんのためにザイパは頑張るよ!
前向きですね、先輩。さすがです。そんな先輩は所得拡大促進税制の適用で気を付けていることはありますか?
今回は中小企業に限定して説明するね。 先ずは、3つのクリアしないといけない要件があるよね?
①雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
➁雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が増加促進割合以上になっていること
③平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を超えること
この3つですね。ざっくり分かりやすくいえば①前期よりも1円でも給与総額が増えていて、②基準年度より3%給与総額が増えていて、かつ③前期と当期の両方に在籍している雇用保険被保険者の年収が1円でも増えていればOK。
※ 基準年度・・・H.25年4月1以後に開始する最も古い事業年度の、一つ前の事業年度。
3月31日決算の会社だとH.25年3月期が基準年度。
そうだね、①②③の全部をクリアしてないと適用できない。このうち一番簡単なのが①だよね。2期比較の損益計算書を見て、給与手当の金額が増えているかをチェック。増えてなければ適用できないと、すぐ分かる。
給与手当以外に賞与も支給されていれば、それも加算して判定ですね?
そのとおり。ただし、同族関係者に払う給与・賞与は除いて判定。だから申告書に添付する
役員報酬手当・人件費の内訳書 を作成すると判定もやりやすいね。
なるほど、税理士事務所で仕事しているヒトっぽい実務的な視点ですね
私も気をつけているポイントあるよ。ここ5年くらいで設立した会社は?を気を付けよう。
いわゆる基準期間が存在しない会社のときね。25年4月1日以後に設立した会社は要注意。
この場合は、第1期の給与等支給額(給与・賞与の総額)×0.7が基準雇用者等給与等支給額(基準期間の給与・賞与)となるよ。創業して歴史が浅い会社は優遇されてるわけだ。
所得拡大促進税制の節税額は、(今期の給与・賞与 マイナス 基準期間の給与・賞与)×10%で計算するから、このケースだと適用される確率は高い。創業期のお客様にぜひ提案したいですね。
ザイムパートナーズでは、創業期のお客様サポートもしっかりやっているから安心よ。
実務上、気を付けたいポイントを更に知りたいです。最近では助成金をもらう会社さんも増えてますけど、そういう助成金をもらうときはこの税制は使えるのですか?節税も助成金もダブルで使えるって大丈夫なのかな?
助成金は、給与から差し引いて判定するよ。会社が払った、正味の給与・賞与だけで判定するわけだね。措置法通達という国税庁が出している規定には次の記載があるよ。
(他の者から支払を受ける金額の範囲)
10の5の4-3?措置法第10条の5の4第2項第3号の規定の適用上、給与等の支給額から控除する「他の者(当該個人が非居住者である場合の所得税法第161条第1項第1号に規定する事業場等を含む。)から支払を受ける金額」には、例えば、次に掲げる金額が含まれる。
(1)雇用保険法施行規則第110条に規定する特定就職困難者コース助成金、雇用対策法施行規則第6条の2に規定する特定求職者雇用開発助成金など、労働者の雇入れ人数に応じて国等から支給を受けた助成金の額
雇い入れた人数と連動しない助成金は差し引かなくて良いわけか。教育や評価制度導入費用、生産性改善のための機器購入をした場合の助成金は気にする必要がないわけね。IT補助金とかキャリア形成促進助成金とかは、この税制では無視してOK。
お客様で、受給が多い助成金でキャリアアップ助成金というのがあります。アルバイトや有期契約の社員を正社員化したときにもらえるケースが一般的ですが、これはどうなのですか?
悩ましいけど、あくまで雇入れが理由で受給できるのではなく、「身分の昇格」で受給できる助成金だから、これも差し引かなくてOKだと思うよ。労働者の処遇や職場環境の改善を図ることでもらえる助成金だから採用でもらえるわけではないよ。
【参考】
「雇用関係助成金」検索表
(区分の欄が判定の参考になると思われます)
今期の平均給与等支給額が前事業年度比で2%以上増加していると、節税額が上乗せされるよ。具体的には、(平均給与等支給額-比較平均給与等支給額)÷比較平均給与等支給額の割合が2%以上であれば、雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額の達するまでの金額に12%を乗じて計算した金額を、上乗せして節税できる。
難しいけど、今期の1人あたり平均給与支給額が、前期の平均給与支給額より2%以上アップしていれば、上乗せ節税できる。③の判定時に分かるね。イメージとしては、今期に昇給率2%アップ以上の会社なら節税増し増し、ということか。
はい、頑張ります。お任せあれ!ザイムパートナーズは、社員の待遇を良くするために頑張っている社長さんを応援しますよ〜。