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名古屋の会社を強くする労務ブログ

2017/06/06

平成29年度の障害者雇用に関する助成金

◆拡大する障害者雇用の義務〜50人以上の会社は1人の雇用が必要

 

平成25年に障害者の法定雇用率が2%と定められたことで、社員50人以上の会社は、最低1人の障害者の雇用が義務化されています。さらに平成27年からは障害者雇用納付金制度が適用される対象範囲が常用労働者100人を超える中小企業に拡大となりました。

障害者雇用納付金制度とは、法定雇用率を下回る場合、不足する人数1人につき月額4万円(※)の納付をする制度です。

つまり、100人以上の会社で障害者の雇用がなければ、毎月8万円(4万×2人分)の国への納付が必要となるのです。(※200人超の場合は、月額4万円ではなく5万円になります)

この法定雇用率は5年ごとに見直しがあり、上昇基調にあります。平成30年も雇用率の改正が見込まれています。50人未満の会社も、いずれは雇用の義務が発生することになるでしょう。

会社の雇用義務化拡大の背景には、安倍政権が1億総活躍社会の実現を目指すこと&障害者の方の就労意欲の高まりがあります。それに取り組む会社を支援する助成金も充実しつつあります。

今回は、障害のある方を積極的に雇用する中小企業向けの助成金をケース別にご紹介したいと思います。

◆障害のある方が安心して仕事に取り組めるかな?そんなときの助成金

 

①【障害者トライアル雇用奨励金】・・1人当たり、月4万円×3ヶ月

(精神障害の方を雇用する場合は月8万円×3ヶ月)

障害のある方を原則3ヶ月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、継続雇用への移行のきっかけとする制度です。この制度は、ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介に限ります。

◆ハローワーク等の紹介により雇用することになったときの助成金

 

②【特定求職者雇用開発助成金】 障害の程度により、下記のとおり金額が変わります。①の障害者トライアル雇用奨励金との併給も可能です。(その場合1回目の支給はありません)

◆初めて障害のある方を受け入れるときの助成金(社員50人〜300人の会社限定)

 

③【障害者初回雇用奨励金(ファースト・ステップ奨励金)】

初めて障害者を雇入れたが、法定雇用障害者数は超えることができなかった・・など

ファーストステップの要件をクリアできなかった場合は、愛知県限定ではありますが、下記?の助成金が新設されました。

 

④【愛知県中小企業応援障害者雇用奨励金】

③のファーストステップ対象外になった会社で一定の要件を満たした場合に受給できます。なお、③と④は助成金の併給はできません。

 

県内に本店があること・特定求職者雇用開発助成金の支給決定を受けていることなどが 主な要件です

◆障害のある方に長く働いてもらいたいときの助成金

⑤【障害者雇用安定助成金(新設)】 

次のA〜Fまでの6コースがあり、複数のコースの取り組みが可能です

今年度より、障害特性に応じた雇用管理・雇用形態の見直しや柔軟な働き方の工夫等を講じた会社に支給される助成金が新設されました。(※難病の方も対象です)?

 A.柔軟な時間管理・休憩取得・・・治療のための時間や有給休暇を付与

(  )は所定労働時間が30時間未満の短時間勤務者

B.短時間労働者の勤務時間延長・・・所定労働時間を増やした!

C.正規・無期転換・・・有期契約労働者を正社員(短時間正社員等)、無期雇用に転換

D.職場支援員の設置・・・業務の遂行に必要な援助や指導を行う社会福祉士等の資格・経験等を有する職場支援員を雇用又は委託により設置した!

(   )内は短時間

E.職場復帰支援・・・中途障害等により休職された労働者に対して、職場復帰のために必要な職場を行い、雇用を継続しました

F.社内理解の促進・・雇用する労働者に対して、障害者の就労の支援に関する知識を習得させる講習を受講

上記の様に、障害のある方を雇用する会社への助成金は拡充が図られています。

障害がある以上、働き方について一定の配慮が必要になることはやむを得ません。それは分かっていても、具体的にどのような配慮が必要なのか分からないケースが多いようです。一緒に働く社員の障害に対する知識不足の解消が必要なわけで、今回の⑤Fのような『職場の教育』に関しての助成金が新設されたのは、非常に有意義だと思います。

これらの助成金をうまく活用しながら、いろんな方が長く働ける会社を目指していきたいところです。多様な人材が活用できる会社が増えていくと良いですね。

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