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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ
◆お金は会社に残すべきか?社長に残すべきか?
会社の利益をそのまま会社に残す(いわゆる内部留保する)か、それとも社長が給与で取るべきかで悩む時は、結論としては、社長給与で取った方が良いと思います。
理由は、社長個人のお金として持っていた方が、使える自由度が高いからです。
会社の利益を、社長が私的目的で使うと、事後の税務調査で当然、追徴税額が課せられます。仕事と関連しないプライベートな支出を会社の経費として仮装経理したということで、その支出は社長への臨時ボーナスと認定されます。
社長へのボーナスは損金とならず、所得税&ペナルティとしての重加算税も課されることになります。その一方で、給与として課税を受けた後の金額(給与の手取り)を何に使おうが、誰も文句は言いません。
社長のお金を会社が使う(社長が会社に資金を貸し付ける)ことは何も問題ありませんが、会社のお金を社長が好き勝手に使うことはできないわけです。整理すると下記となります。
しかし、給与が高い人ほど所得税・社会保険料なども多くなってしまい、高額な給与は意外と手取りが少ないものです。したがって、社長が給与をたくさん取っても、会社と社長に残る金額の合計額が減らないように設定することが、合理的だと言えます。
◆会社と社長の合算で、手許に残るお金を最大化することを考えてみよう
社長の給与を決定する際は、会社と社長の手許に残る金額の合計で税金が最も少なくなるように、個人の所得税等の負担率と、会社の法人税率をくらべて決定することが合理的です。次の年収に対する手取り割合をご覧ください。
※扶養親族1名 社会保険加入(介護保険あり)社会保険料控除・基礎控除以外の所得控除10万円としています(平成29年9月1日時点での法令に沿って試算)
年収1千万円だと手取りは75%ほど(4分の3)です。2千万円だと67%(3分の2)となります。一つの目安として覚えておくと良いでしょう。
そして、会社(法人)の利益に対する税金負担率は次のとおりです。
上記2つの表を参考に、社長が給与をたくさんとっても、会社と社長に残る金額が減らないケースを、ご紹介します。
◆社長給与と会社利益の税負担率を均等にしてみる
例1.社長給与30万円と50万円で、残る金額が同じになる場合(給与支給前の会社利益が1000万円のケース)
会社の利益にかかる税率は最低でも21.4%なので、月給50万円(所得税等の負担率:21.3%)までなら会社に利益を残しておいても、社長の給与として取ってみても、どちらでも手元に残る金額は、ほとんど変わりません。具体的に、2つのパターンで試算してみました。
①社長給与を30万円(年収360万円)に、残る会社利益が640万円のケース
②社長給与を50万円(年収600万円)に、残る会社利益が400万円になるケース
残る金額の合計:①≒②
残る金額が同じなら、社長給与が多い方がいいですよね。前述したとおり、社長の手許にあるお金は自由に使えるからです。
例2.社長給与50万円と100万円で、残る金額が同じになる場合(給与支給前の会社利益が2000万円のケース)
会社の利益にかかる税率は、利益が800万円を超えると、超えた部分が34.1%と急に税率があがるので、利益がたくさん出そうな場合は、社長給与を多くとっても、残る金額が変わらない場合もあります。具体的に、2つのパターンで試算してみました。
①社長給与を50万円(年収600万円)にすると、会社利益が1400万円になる時
②社長給与を100万円(年収1200万円)にすると、会社利益が800万円になる時
残る金額の合計:①≒②
社長の月給を50万から100万円にしても、手元に残るお金は同じなので、100万円とった方が良いと言えます。
社長の給与設定で悩んだときは、このように手取り割合を考えて設定をすれば、会社も社長も損をせずに済みます。
1.会社に残すより、社長に残した方がお金の自由度が高い。
2.そのうえで、会社と個人の税負担率を考えて、残るお金が減らないような給与設定をする。
この2つのポイントを、給与改定の際は、ぜひ参考にしてください。
・・・とはいえ、最終的には税金が多くなるから、自分の給与は少なくしようという経営者はいないでしょう。理論としては、今まで述べたことは間違ってはいませんが、経営者個人の豊かな人生・資産形成を考えると、やはり高い負担率であっても高い給与を目指し、それを支払える利益を稼ぐというのが正しいでしょう。そういう意味では、今回の考察は理論としては正しいけどね・・・という微妙なコンテンツではあります(苦笑)
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