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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ
役員退職金の規程を作りたい・・・。そんなときに、下記のような規程をフォーマットにすることが 多いと思います。
第1条(総則)
この規程は、退任(死亡を含む)した取締役または監査役(以下役員という)の 退職慰労金について定める。
第2条(退職慰労金額の決定)
退職した役員に支給すべき退職慰労金は本規程に基づき、計算すべき旨の株主総会の決議に従い、取締役会が決定した金額とする。
第3条(退職慰労金の額の算出)
役員の退職慰労金の額は次の算式によって得た範囲内とする。
(1) 退職慰労金の額= 退任時の報酬月額×役員在任年数×功績倍率
(2) 各役位別の功績倍率は次のとおりとする。 (実際の○倍の箇所は、役位によって変わります)
会長 ○倍
社長 ○倍
専務 ○倍
常務 ○倍
取締役 ○倍
監査役 ○倍
第4条(役員報酬)
役員報酬とは、名目のいかんを問わず、毎月定まって支給されるものの総額をいう。
第5条(役員在任年数)
役員在任年数は、1ヵ年を単位とし、端数は月割りとする。 ただし、1ヶ月未満は1ヶ月に切り上げる。
第6条(非常勤期間)
役員の非常勤期間については、原則として、退職慰労金算出の際の役員在任年数から除く。 ただし、特別の場合は、取締役会で別に決めることができる。
第7条(功労加算金)
特に功績顕著と認められる役員に対しては、取締役会の決議により、第3条により 算出した金額にその○○%を超えない範囲で加算することができる。
・・・・・・・・
今回、取り上げるのは、この第7条の功労加算金です。 イメージとしては、退職慰労金(本体)+功労加算金(プレミアム)みたいに捉える 方が多いと思います。本体の退職金とは別にもらえる。
会社が役員退職金の金額を、どのように決めるかは、はっきり言えば好きにしていただ ければOKなので、上記の規程でも何も問題はありません。功労加算金も払いたければ 払えば良いわけです。 ただし、税法には、過大な役員退職金は、法人の損金(経費)とできないという規定が あります(法人税法 施行令70条1項2号)。
会社が規程どおりに決めた退職金だから といって、あっさり経費にしてOkですよというわけにはならないわけです。 この退職金が過大かどうかを判定するうえで、はたして功労加算金などのプレミアム 部分を含めた退職金額で判定するのか、本体金額だけで判定して良いのかという疑問 が生じます。
生命保険会社さんには申し訳ないのですが、役員退職金の準備用の生命保険を勧める 際にも『功労加算も設定してOKですよ。』と安易にお話される方が多いのですが、 多くの中小企業にとっては、役員退職金が税務署に認められる金額なのかどうかが 肝になります。 功労加算金をもらったは良いが、それが経費として認められなかったでは意味が ありません。多くの場合、損金として認められるかどうかが設定にあたっては 重要なファクターなのです。(もちろん、経費にならなくても良いから、たくさん 貰えればOKという方は別ですが)
さて、話を戻して、功労加算金ですが、規程上はプレミアムでも、法人税法に おける過大退職金の判定上は、本体の退職慰労金と合算して判定します。 過去の判例(詳細はこちら)の、引用のみとなりますが、下記の記載が なされています。
功労金等も,Aの退職により支給された給与であるから,法36条の退職給与に該当するところ,前記(3)のとおり,Aに支給された役員退職給与のうち,比較法人の平均功績倍率及びAの創業者としての功績等固有の事情を踏まえて,功績倍率3.5で算出される範囲内の役員退職給与であれば相当であると認められるものの,これを超えた部分については名目の如何にかかわらず,過大な役員退職給与として損金算入を認めることはできないのであって,退職慰労金とは別に支給しても合理的であるとの原告の主張(前記(2)のとおり実質的に功績倍率4.6が適正と主張するものといえる。)は採用できない。
功績倍率の話は、別の機会にするとして、アンダーラインのところがポイントになります。 『名目の如何にかかわらず』というところがポイントで、功労加算金と本体の退職慰労金を 合算した額で、過大役員退職金の判定をしています。 冷静に考えれば当たり前なのですけどね。名目を分ければ経費性が認められるなら、 誰でも好き勝手に分けますよ。そもそも功労加算金の明確な基準もないですしね。 退職慰労金 + 功労加算金 < 最終報酬月額 × 平均功績倍率 ×勤続年数 この感覚が、税実務では正しいと考えれば良いでしょう。
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