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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ

2015/12/26

キャバクラ ホステス報酬は給与

キャバクラのホステスさん(いまはキャストって呼ぶことが多いですが)への 報酬が、いわゆる外注費(事業所得)になるのか、給料(給与所得)に なるのかという論点は、なかなか難しいところです。

それについて興味深い非公開裁決が出てますね(現在 控訴中なので確定 ではありませんが) 平成25年4月16日付判決の事件ですが、国税側が勝訴しています。 ホステスに支払われた金銭は 所得税法28条1項に規定する給与等に該当し、当該給与に係る源泉徴収 義務は、本件キャバクラ事業の経営主体である者が負うと判断されました。 中身を追うと以下の事実があったようです。

(1)入退店時刻のタイムカード管理がある
(2)時給×勤務時間 で報酬の大半が計算される
(3)雇用契約の書面がある(就業システムという名称だそうです)
(4)店長から出勤日や入退店自国の指示を受けている

・・・要は、バイトでしょ?って話ですね。時間管理され、お店と言う仕事場所が 決められている。(時間的・空間的拘束があるのは従業員性が高いということです) それで時給で払っているなら給与以外の何物でもないという、非常にシンプルな 判断で、至極真っ当ではあります。

報酬には、売上バックや同伴バック制度で決まる加算額もあるため、納税者としては ホステスの技能・人気によって報酬が大きく変動するとの抗弁もあったのですが、 歩合給自体は、一般の会社でもありますし、通常給与所得として認定されます。 この加算額も給与認定されたのかどうか分かりませんが、ホステスがコスト負担を していないのであれば、給与認定されているはずです。 このコスト負担(ドレスや美容代。お店への移動コスト。名刺代などの営業ツールの 負担など)について、どうされてたのかは、今回の判決では、読み取れませんが、 いずれ事実関係ははっきりしてくるとは思います。また、判決で下記の記載があります。

法204条1項6号において、ホステス等の業務に関する報酬・料金の源泉徴収 義務が規定されていることから、ホステスに対する支払いについては、ややも すれば、その支払いの性質を十分検討せずに、同号所定の報酬と判断しがちであるが、 一口にホステスといってもその業務形態は様々であり、支払いをする者と契約関係 次第では、給与等に該当する場合もある。     

事業所得と給与所得との所得区分の判断基準については、最 高裁昭和56年4月24日第二小法廷判決(民集35巻3号672ページ)に おいて示されており、本判決も、上記最高裁判決が示した基準を基に、支払いを する者とホステスとの間の契約関係、実際のホステスの勤務状況等から、ホステス に対する支払いは給与等に該当すると判断した。

本件のように、ホステスに対する支払いについては、安易に報酬と判断すること なく、上記最高裁で示された判断基準を基に、報酬か給与かを判断する必要が あることに留意されたい。                

ホステス報酬については、やはり実態の確認をキチンとしろということになります。 ホステスへの支払いは、給与じゃないという思い込みはアウトということです。

税務は、最終的には実質判断です。形式では判断されません。 私見ですが、給与所得ではないというのであれば、下記のポイントは クリアすべきだと思います。

(1)報酬の最低保証は設けない(保証があれば給与でしょう)
(2)時給での支払いはしない(何らかの実績に応じた変動報酬とする)
(3)ホステス自身でコスト負担をさせる(事業者なら経費負担は当たり前)
(4)タイムカード等の勤怠管理はしない(外注業者を時間で縛ったりしないですよね)

・・・とはいえ、これ難しいでしょうね。そもそもキャバクラで働く人の大半が若い 女性であり、むかしのホステスと同じ感覚では仕事していないでしょうから。 ホステスさんが代金回収などのリスクを背負う時代(今でもあるのかな?) は、たしかに事業者といえるのでしょうが、今はそんなリスクないでしょうからね。 (銀座とかの老舗の高級クラブとかならあり得るのか?)

税務はいつもシンプルで常識的な 結論にはなりますね。ある業界だけ特殊な 取扱をして良いわけじゃないです。業界の常識は税務署には通用しない。これも 大事なキーワードだと思いますね。業界の常識なんて、どこの業界の人もウチは 特殊なんだよって言いますから(苦笑)

もちろん税理士も、税法の優遇措置はありません。 どの業種も同じですよ。税理士だからって税務調査がないわけではないですし、普通の会社さんと同じです。

自分たちの業界は特殊・・・、それは思い込みです。少なくとも税務・労務の世界では間違いありません。失礼な表現なのかもしれませんが、水商売の世界ですらこの判決になるのですから、他の業界では尚更だと考えた方が良いでしょう。

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