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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ
◆含み損を売却損に変えれば、節税になる
高い価格で購入したものを、購入時の価格より低い価格で売却すれば、売却損が生じます。損が増えれば、他の利益と相殺することで課税所得が減るので、法人税が減ることになります。
上場株式は、証券市場で容易に売り買いできるため、会社が上場株式を保有していて、かつ購入時の時価より低い状態であれば、市場で売ることで、すぐに売却損を作ることができます。しかし、株はいつか上がるかもしれない。僅かとはいえ配当も付くし、売ると勿体ない。だけど節税はしたい・・・というヒトが思いつくのが、いわゆるクロス取引です。
一度売って、再度買い戻す。これなら売却損を作れるし、株の保有数も変わらない。売ったお金で買い戻すだけなのでキャッシュ的にも損はありません。
◆クロス取引による売却損は、会計処理・税務処理の両方で認められない。
平成12年に法人税法基本通達に、下記が追加されました。これにより上記のクロス取引により生じた売却損は、税金計算上、損失と認識しないことになりました。(かっこ書きは敢えて削除して読みやすくしましたのでご容赦を)
2−1−23の4(売却及び購入の同時の契約等のある有価証券の取引)
同一の有価証券が売却の直後に購入された場合において、その売却先から売却をした有価証券の買戻し又は再購入(証券業者等に売却の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該証券業者等からの購入又は当該証券業者等に購入の媒介、取次ぎ若しくは代理の委託をしている場合の当該購入を含む。)をする同時の契約があるときは、当該売却をした有価証券のうち当該買戻し又は再購入をした部分は、その売却がなかったものとして取り扱う。
(注)1.同時の契約がない場合であっても、これらの契約があらかじめ予定されたものであり、かつ、売却価額と購入価額が同一となるよう売買価額が設定されているとき又はこれらの価額が売却の決済日と購入の決済日との間に係る金利調整のみを行った価額となるよう設定されているときは、同時の契約があるものとして取り扱う。
(注)2.本文の適用を受ける取引に伴い支出する委託手数料その他の費用は、当該有価証券の取得価額に含めない。
(注)3.購入の直後に売却が行われた場合の当該購入についても同様に取り扱う。
この通達が追加された経緯として、金融用品会計に関する実務指針に、クロス取引は金融資産の消滅の認識要件を満たさないので、売却処理を認めないと規定されたからです。会計上の取り扱いが変わったことに税務が追随したわけです。
ちなみに、売買目的有価証券については、期末で時価評価を常に行うことから、上記の通達の対象外となっています。売買目的有価証券であればクロス取引もOKです。とはいえ、評価損は節税になるから良いとしても、含み益に税金がかかることを是とする中小企業は、ほとんどいないのが現実なので、中小企業においては投資会社でもない限りは、売買目的有価証券として、自社の保有上場株式を取り扱うことは、レアケースだとは思われます。このブログを読んでいる皆様の会社で、上場株式を保有しているのに、含み益に課税されないのは売買目的有価証券として取り扱っていないからです。
◆それでは、売ってから何日経てば、買い戻してもよいの?
クロス取引がダメなのは分かったが、売ったあとに、やっぱり買い直したいと思う銘柄もでてくるはず、節税目的で売却損を出したいと思ったわけでもないのに釈然としないという意見もあると思います。ここでクロス取引に該当しないケースとして、金融商品会計に関するQ&Aに下記の記載があります。(あくまで会計上の取り扱いに関するもので、税法の取り扱いではありません)
売ってから5日で買い戻したらクロス取引になっても仕方ないよ・・・というニュアンスですね。逆にいえば、売ってから6日経てば買い戻しても、クロス取引にはならず、売却損が認められるともいえます。
法人税法(上記の基本通達含めて)には、5日という明記はされていませんが、クロス取引の法人税における通達改正が、会計上の取り扱いの改正を受けたものだという趣旨を鑑みれば、この5日ルールによってクロス取引に該当するかどうかを判断しても良いと思われます(でないと、永遠に買い戻せないじゃんって話になりますよね)。
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