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社長さんの大学生の子どもを役員にして、役員給与を支払うことはできるのでしょうか?
結論から言うと、支払うことはできます。ただ、その金額をいくらにするかが問題となります。
以下の判例より、学生である非常勤役員に対する役員給与のポイントを見てみましょう。
大学に在籍中の取締役(原告会社の代表取締役の長女18才)に対して支給した役員報酬の額が
過大であるとされた事例
昭和53年11月30日東京高裁判決(訟務月報25巻4号1145頁)
過大であるとされた事例
昭和53年11月30日東京高裁判決(訟務月報25巻4号1145頁)
《判決要旨》
取締役丙は、原告会社代表取締役甲の長女であって、取締役に就任当時同人は、18才であって、しかも大学国文科第1学年(昼間)に在籍し、学業の余暇を利用して、原告会社の経理関係の帳簿の整理、自動車運転等の職務に従事していたものである。
原告会社は右丙に対して年額930,000円の役員報酬を支払ったが、丙が原告会社代表取締役の後継者となるものであるとしても、丙の知識、経験、取締役として就任間もない事実、勤務状況、職務内容等からみた同人の会社経営に参画する程度と他の取締役、使用人に対する報酬、給与の額等を併せ考えると、丙に対して支払われるべき報酬の客観的相当額は、いかに高くみても会社設立以来の非常勤取締役丁に対する報酬額(年額600,000円)以上には出ないものというべきであるから、丙に対する報酬額930,000円のうち600,000円を超える部分は、不相当に高額な金額であると認めるべきである。
取締役丙は、原告会社代表取締役甲の長女であって、取締役に就任当時同人は、18才であって、しかも大学国文科第1学年(昼間)に在籍し、学業の余暇を利用して、原告会社の経理関係の帳簿の整理、自動車運転等の職務に従事していたものである。
原告会社は右丙に対して年額930,000円の役員報酬を支払ったが、丙が原告会社代表取締役の後継者となるものであるとしても、丙の知識、経験、取締役として就任間もない事実、勤務状況、職務内容等からみた同人の会社経営に参画する程度と他の取締役、使用人に対する報酬、給与の額等を併せ考えると、丙に対して支払われるべき報酬の客観的相当額は、いかに高くみても会社設立以来の非常勤取締役丁に対する報酬額(年額600,000円)以上には出ないものというべきであるから、丙に対する報酬額930,000円のうち600,000円を超える部分は、不相当に高額な金額であると認めるべきである。
この判例は、昼間の大学生が学業の合間に、非常勤役員として、親の会社の仕事を手伝っていた場合の役員給与について、本人の経歴や勤務実態、周囲の状況から考慮すると、他の非常勤役員に対する給与額(年額60万円)までの金額なら妥当だとの結論になっています。
Point
①スキル、実績
□大学生であるその役員自身の経験・知識
□役員としての就任期間
□会社の経営に参画しているか
➁職務内容
□他の役員の職務内容との比較
③金額
□使用人に対する給与との比較
□事業規模が類似する同業他社の役員給与との比較
□大学生であるその役員自身の経験・知識
□役員としての就任期間
□会社の経営に参画しているか
➁職務内容
□他の役員の職務内容との比較
③金額
□使用人に対する給与との比較
□事業規模が類似する同業他社の役員給与との比較
以上のポイントを、“総合勘案”して金額を決定する必要があるというわけです。
なお、当然のことですが、会社の業務に全く携わっていなければ、役員登記をしようが、給与は1円も支払えません(経費として認められません)。
また、判例はひとつの目安であって、あくまでも実質で判断することになります。これは学生でない非常勤役員についても、同じことが言えるでしょう。
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