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頑張る会社をもっと強くする!節税ブログ
以前、節税動画19〜会社を設立したら、会社へ車を売って節税〜で、社長と会社で車の売買をする場合、適正な価格(時価)で売買する必要があります。と説明しました。
「適正価格」=「市場価格」となり、市場価格の算定方法は、①中古自動車店などで査定してもらう。➁車種、形式、年式、走行距離などを考慮して、中古車情報誌やインターネットなどの価格で算定する。が一般的だと思われます。①、②のいずれかで適正価格を算定します。①②の平均で算定するのもアリですね。
さて、適正価格(時価)で売買しなかった場合どうなるのでしょう?今回は、社長が保有している高級車Fを、自分の会社に時価よりも安く売った場合を例に挙げます。
<車両データ>
取 得 価 格 : 4,000万円
時価(市場価格) : 3,000万円
個人の所有年数 : 6年
「適正価格で売買した場合」 と 「適正価格よりも安く売買した場合」 の2つのケースでかかる税金です。
適正価格で売買 | 適正価格よりも安く売買 | |
社長 | 所得税・住民税 | 所得税・住民税 |
会社 | 課税なし | 法人税 |
会社の株主(社長の親族) | 課税なし | 贈与税 |
1.適正価格で売買するケース
●社長に対する課税
車両を売却した場合、売却益に対して所得税・住民税が課税されます。土地・建物を売却した場合とは異なり、一定税率ではなく、他の所得(給与など)と合わせて課税されます。所得税は超過累進税率ですので、給与所得が高い人は高い税率で課税されることとなります。今回の高級車のケースだと時価(市場価格)が下がりにくいため、譲渡益が大きくなる傾向にあります。
車を売却したことによる譲渡所得 = 674万円
(※特別控除、1/2後の金額)・・・A
社長様の給与所得(年収5,000万円の場合)= 4,755万円・・・B
( A + B )− (社会保険料控除 + 基礎控除)= 約5,241万円
この場合、所得税率は、 45% となります。
A × 45% = 303万円 が車を売却したことによって増える所得税です。
さらに+10%が住民税として課税されます。
●会社に対する課税
会社は適正価格で取得しているので、特別な課税はありません。
6年落ちの車両ですので、耐用年数が2年となり、期首に購入すれば全額その期の経費となります。経費の妥当性の問題は無視します。
2.適正価格よりも安い2,000万円で売買するケース
●社長に対する課税
1のケースと同様に譲渡益に対して課税となりますが、今回のケースのように個人・法人が同族会社で取引する場合には注意が必要です。
所得税基本通達 59-3 (同族会社等に対する低額譲渡)
山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、法第59条第1項第2号の規定の適用はないが、時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》の規定に該当する場合には、同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。
時価よりも安く法人へ売却して所得税を減らそうとしても、時価に相当する金額によって売却したものとみなされてしまいます。つまり、時価で譲渡してください。ということです。同族会社が取引を行うことによって、社長の所得税を不当に減少させることを防ぐためです。
結果として、税金は1のケースと変わりません。会社からもらう金額は少ないのに、同じ税金となるのです。
●会社に対する課税
会社は、時価よりも安く車を取得しているため、時価と購入価格の差額は「受贈益」として認識されます。
車両 3,000万円 / 現金預金 2,000万円
受 贈 益 1,000万円
法人税納税額 = 受贈益 × 34%(実行税率)
= 1,000万円 × 34%
= 340万円
そして、もう1点注意することがあります。
●株主に対する課税
同族会社の場合、親族が株主のケースがあります。
会社が安く車を買えたことで得をした分だけ会社の価値が増えるわけですが、会社の価値イコール株式です。株式の価値が増えることになり、車を売った社長から会社の株主への贈与と認識され課税される場合があります。
相続税法基本通達 9-2 (株式又は出資の価額が増加した場合)
同族会社(法人税法(昭和40年法律第34号)第2条第10号に規定する同族会社をいう。以下同じ。)の株式又は出資の価額が、例えば、次に掲げる場合に該当して増加したときにおいては、その株主又は社員が当該株式又は出資の価額のうち増加した部分に相当する金額を、それぞれ次に掲げる者から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。この場合における贈与による財産の取得の時期は、財産の提供があった時、債務の免除があった時又は財産の譲渡があった時によるものとする。(昭57直資7-177改正、平15課資2-1改正)
(1)会社に対し無償で財産の提供があった場合 当該財産を提供した者
(2)時価より著しく低い価額で現物出資があった場合 当該現物出資をした者
(3)対価を受けないで会社の債務の免除、引受け又は弁済があった場合 当該債務の免除、引受け又は弁済をした者
(4)会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合 当該財産の譲渡をした者
まとめ
安易に売却価格を決めてしまうと、最悪のケースでは、社長・会社・会社の株主の3者それぞれに、所得税、法人税、贈与税のトリプルパンチで課税されることとなります。社長から会社への資産譲渡の際には、慎重に価格を決めたいところです。
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