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2016/09/04

節税動画30〜租税特別措置法での節税を忘れると取り返しはつかない

平成29年度税制改正要望をチェック

 

経済産業省の平成29年度税制改正要望を見ていると、所得拡大促進税制の拡充が記載されています。

 

所得拡大促進税制は、ある要件をクリアすると、給与の増加額「当期の人件費‐基準期間(※)の人件費」の10%を法人税から差し引くことができる節税プランです。法人税の20%までが法人税節税額の上限となっていますが、法人住民税が法人税×●%という計算構造になっているため、この税制を使うと、法人税だけでなく、法人住民税も少なくなります。

(※)基準期間とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度のことです(3月決算の法人の場合は、通常25年3月期となります)

 

今回の要望を見ていると、この効果を2倍にしたいという内容になっています。まとめると下記になります。

 

税額控除額(法人税節税額)  現行;10%       ?→  改正要望20%

控除額の上限(節税額の上限) 現行;法人税の20%まで →  改正要望40%まで

 

この税制は、法人税法に規定されているものではなく、租税特別措置法という特別な法律で規定されています。オプションみたいなものですね。選択すれば使っても良いよという位置付けになります。選択しなくとも正しい申告、選択しても正しい申告ということです。選択しないと損をするというだけ(大きなことですが)。

 

もちろん、要件を満たさないと適用はできないので、検討した結果、結局使えなかったということは、弊社のお客様でもよくあることです。

 

適用しなかった場合の救済措置はない

 

適用できるケースであったのに、何らかの理由で適用せずに申告をした場合に、申告のやり直しが効くか?結論から言えば、租税特別措置法での節税プランではやり直しは効きません。あくまで特例であり、適用しなくとも間違った申告ではないからです。これについての判例があります。東京地裁での判例 2016年07月08日(平成27年(行ウ)第604号) です。現在 控訴中のようですが、私見ながら覆すのは厳しいと思われます。

 

租税特別措置法については、当初申告要件があり、期限後申告についてはアウトな規定だからです。もちろん、申告期限内であればやり直せば、適用は可能です。

 

改正要望が実現すれば、節税効果は2倍になるわけで、失念した場合の税コストは大きいものになります。

 

お問い合わせをいただく際に、過去の申告書を拝見させていただくことことがありますが、要件をクリアできなかった場合はともかくとして、検討すらしなかった(無知または面倒だから)と思われる申告書を見ることも多いです。

 

特に人材派遣会社などのヒトの増加 イコール 収益の増加となる会社では、この税制を使うかどうかで税額が大きく変わることがあります。検討だけはしておきたいところです。

 

ただ、面倒なのは確かです(苦笑)。

 

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