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◆ 外国人社員の家族が、日本外にいる場合は年末調整が面倒になる
既知の方も多いでしょうが、この2016年度(平成28年分)の年末調整で、次の1.2に該当する社員さんがいる場合は、準備してもらう書類が多くなります。別に準備してもらわなくとも構わないのですが、準備がないと所得税や住民税が高くなります。
1.外国人社員で、日本国外に扶養親族が住んでいる場合
(例;両親や祖父母・兄弟が国外に住んでいる)
2.日本人社員で、日本国外に扶養親族が住んでいる場合
(例;子供が1年以上の留学をする場合)
所得税法では、1年以上日本に居住する見込みのある人や既に居住している人を『居住者』といいます。居住者以外の人を、『非居住者』と呼びます。上記1.2は非居住者である、独り立ちでいていない家族がいるケースということです。仕送りがないと生活ができないレベルの所得しかない外国に住んでいる家族ということになります。
◆ 実際に、何を書いたり、準備しないといけないの?
そういう家族を国外居住親族と呼ぶわけで、普通に日本に家族がいる社員の年末調整と同様に、扶養控除等申告書に家族名と所得を書く以外に、『生計を一にする事実』の欄に、その親族に仕送り(送金)している金額の28年中の合計額を記載します。なお、所得については『平成28年中の所得の見積額』を記載する欄がありますが、ここは合計所得金額を記載するわけですが、日本国外での所得(外国でのアルバイト収入とか)は記載不要です。国外源泉所得は、合計所得金額に含まれないことになっているためです。
扶養控除等申告書に記入するうえで、悩んでしまう方も多いと思いますが、これで少しはスッキリしたかと思います。だけど、更に準備書類が2点あります。?親族関係書類 と?送金関係書類です。
①親族関係書類は、国外居住親族を扶養親族として給与計算を行う際には、すでに提出されているものではあります。提出がないと、扶養親族として扱ってはいけません。もっとも、最終的に年末調整で税金は精算されるので、社員が年末まで日本にいるのであれば、実務的にはそれほどナーバスにならなくとも良いでしょう。29年からは注意しておきましょうね。
この親族関係書類は、簡単にいえば、現地のお役所が発行した戸籍謄本や出征証明書などです。公的に親族であることが示されている書類ですね。とはいえ、世界にはいろんな国があるわけで、何が書いてあるかも年末調整や給与計算を担当する方には、さっぱり分からないのが通例です。英語であれば翻訳サイトもありますが、他の言語だと翻訳は難しい。そういった理由からだと思われますが、親族関係書類には、その翻訳文(これは誰の翻訳でも良いです)を合わせて提出することとされています。なお、親族関係書類は原本を会社に提示する必要があります。原本を会社で保管することは求められていないので、原本を会社がコピーして、本人に返却すれば良いでしょう。会社はコピーを保存しておけば事足ります。
②の送金関係書類は、文字通り、仕送りした金額が分かる書類です。これも翻訳文が必要です。①だけでは扶養親族と証明できず、②がないと税金は高くなります。例え小さな子どもであっても、本人(子ども)への送金がないとダメで、誰か一人の代表を決めて、その口座へ複数人分を振り込むというのはアウトです。ここが非常に厳格に定められており、端的にいえば、お金を本人口座へ振り込まない限り認めないということです。現金で渡しているというのは認められません。
送金ではなく、社員名義のクレジットカードで、国外居住親族が生活に使用しているものであれば、そのカード利用明細でも良いです。(いわゆる家族カードの利用ですね)
また、更に、前述した扶養控除等申告の、『生計を一にする事実』の欄にその仕送額(クレジットカードの利用額も含める)を書くためにだと思われますが、送金関係書類の明細書も記載します。これに送金の内訳や日付が記載されるわけで、とても面倒です。書くことは省略できませんが、送金関係書類は2枚だけ(28年中の一番最初の支払いと、最後の支払いだけ)添付すればOkとなります。
◆ 年末調整で対応できないときは、社員本人が確定申告をすればOk
こうやって文章としてまとめているだけでもウンザリですね(苦笑)。非常に手間です。
日本の総務経理の担当者としては、書類をチェックするのも面倒だから、本人が確定申告で税金精算をしてくれ〜と言いたくなりますね。ともかく①②の両方が翻訳文付きで揃わないときは、年末調整では扶養親族と取り扱ってはいけないということだけ覚えておいてください。もちろん確定申告時にも同じ書類が必要にはなるので、社員さんの手間は同じです。
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