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2017/06/12

倒産防止共済を年払いするときの注意点

節税効果として効果的だといわれている倒産防止共済(経営セーフティ共済)ですが、年払い(前納)を持続させたい場合には、いくつか注意すべきポイントがあります。

◆ 倒産防止共済ってなに?

倒産防止共済は、企業(個人事業もOK)が掛け金を積み立てることで、万が一取引先が倒産などした場合に、積み立てた金額の10倍の範囲内で、回収が困難となった売掛債権範囲内の貸付を受けることができる制度です。

 

基本的には、取引先が倒産などして、本来入ってくるはずだった売掛金(売上)が入ってこなくなることによる連鎖倒産を防止するという共済制度になっています。

 

また、この倒産防止共済は、節税の側面からも強い味方となる制度です。最大の特徴は「掛け金は100%損金算入(必要経費で計上)できる」

 

例えば、 掛金月額20万円 × 年間支払12ヶ月 であれば、240万円が支払った時点で損金となります。

 

掛金月額は、5,000円〜20万円(5,000円単位)で自由に選択でき、掛金総額が800万円に達するまで積み立てることができます。掛金の金額を途中で変更することも可能です。そのため、支払いが難しいときには、最低掛金月額の5,000円に変更することもできます。

 

また、もう一つの特徴は「40か月以上の加入で解約時の返戻率100%」という点です。倒産防止共済は、簡単に言うと「経費にできる定期積金のようなもの」です。

 

ただし、1年以上事業を行っている中小企業者が対象となるため、創業初年度の法人の場合は加入ができません。ご注意ください(個人事業者が法人成りしたときは加入できます)。

 

◆年払いした翌年は、自動的に月払いになる!

倒産防止共済には「前納」という制度があり、月額掛金を1年以内の任意の月数分前払いすることが可能です。これを利用して年払いをすれば、その全額を支出した事業年度の経費にすることができます。ただし、年払いをした翌年も前納したい場合には、改めて手続きが必要です。

 

もし何も手続きをしなかった場合、翌年は自動的に月払いになり、毎月指定の口座から引き落とされることになりますので、注意が必要です。

 

◆年払いを続けるためには、具体的にどうしたらいいの?

今年前納した掛金の充当が終了する約1ヶ月前に、中小企業基盤整備機構(以下 中小機構)から『掛金前納預かり分充当終了のお知らせ』が送付されます。翌年も同様に前納を希望する場合は、『前納申出書』を払込みをしたい月の5日(土曜・日曜・祝日の場合は翌営業日)までに中小機構が受理できるよう、銀行に提出する必要があります。

 

【掛金前納の例】

6月決算の法人が、掛金月額20万円を12ヶ月分前納する場合(6月に窓口で前納の手続きを行った場合)

中小機構の受理日 前納掛金の引き落とし月 6月決算で損金になるか?
6月1日〜6月5日

 

6月に240万円の掛金が引き落とされる 240万円全額が6月で損金になる
6月6日〜7月5日 7月に240万円の掛金が引き落とされる 損金ゼロ(翌年度の損金になる)

 

受理日がギリギリにならないよう、遅くとも前納をしたい月の前月(前納の期間が終了する月)までには、銀行に申出書を提出するようにしてください。

 

 

◆解約したときに利益になり、税金がかかる!

支払った時に経費になるということは、解約して戻ってきたお金は当然、収益になります。また、いつでも解約ができるため、赤字決算の時に解約して解約手当金を収益に計上し、赤字を免れることもできます。ただし、一部解約はできないため、赤字になりそうな分だけを解約する、ということはできません。

 

先程、「40か月以上の加入で解約時の返戻率100%」とお伝えしましたが、40ヶ月未満の場合でも、解約することはできます。ただし、その場合には元本割れをしてしまいます。また、納付月数が12ヶ月未満の場合には、解約手当金を受け取ることはできないため、掛け捨てとなってしまうことにも注意しなければいけません。

 

 

◆前納すると、お金が少し戻ってくる!?

前納をした場合には、【掛金月額×5/1,000×前納月数】で前納減額金(前納による割引金)が支払われます。毎年3月末に計算し、これまでの前納減額金の合計額が5,000円以上になった場合には、6月に掛金の預金振替口座に振り込まれます。

 

節税もできて、前納するとお金も一部戻ってくる。なんともお得感が強いように感じますね。

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